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日本の離島 ISLAND


2005 祝島 山口県 Iwaijima Yamaguchi

小さな客船は小さな漁港に停まり生活物資や宅配物などが運び出され大勢の人でにぎわいを見せている。
船を降りると「原発絶対反対」と大きな看板がある。祝島から4kmの無人島が1982年に原子力発電所建設予定地に選ばれた。小さな島の島民が原発で推進派と反対派で二分され揺れている。集落は段々と傾斜に沿って広がっている。細い路地が迷路のように入り組み、台風の通り道になる島は石を漆喰で固めた「練塀」が軒下で屋根とつながり住居の周囲を覆っている。風情のある光景にシャッターをたくさん切るが手応えがない。写真に収めるのが難しい光景を練り歩く。海がシケの日、漁港の納屋には漁師たちが集いドラム缶で作ったストーブの上にサヨリを焼きながら焼酎をまわし飲んでいる。「こんなところに何をしにきた」と。「あなたに会いにきました」と答えたら「気持ち悪いな」とかえされた。娯楽施設のない島での暮らしは昔からおしゃべりが一番の娯楽だと教えてもらった。電気がなくても生きていけるけど、この自然がなくなったら生きていけないとも教えてもらった。ゆるやかで心地よい春の時間。


2004 隠岐島 島根県 Okishima Shimane

島へ出かける時、多くを調べない。普段の島が見たいので祭や行事に合わせることはない。船の発着港が分かれば、それでいい。あとは、島の人に聞けばいい。
山陰線、日本海沿いを兵庫、鳥取、島根と。車窓を流れる山陰地方の光景は、いつかこの地をゆるりと歩いてみたい欲求にかられる。
西ノ島、中ノ島、知夫里島、島後の4つの島からなる隠岐島。島根県七類港から一番大きな島後へ。
杉の木に囲まれた円形の広場があった。そこは闘牛場で日本には沖縄、徳之島、隠岐の島と闘牛がある事を教えてもらう。隠岐では「牛突き」と呼び、壇鏡神社八朔祭の余興として行われている。毎年9月1日の大会前日から牛の参詣、宴席、出祝い式など古来からの儀式が継承されている。牛を見せてもらった。毎日2時間かけて餌をやり、牛を磨き、散歩をさせる。子供この頃から親と一緒に牛の世話をして牛の扱いを覚えていった。黒毛の巨体に太く鋭い角。闘う為に生まれ育った大きな存在は美しく、触れてみたかったが怖くて近づくこともできなかった。


2005 志々島 香川県 Shishijima Kagawa

瀬戸内海のほぼ中央にある志々島。島に降りたのは僕一人。ひっそりとした集落には商店もなく海沿いには小さな祠がたくさんあった。花やお供え物があり丁寧に手入れされている。朝日に照らされた祠はキラキラと光り幻想的な光景。その側で廃屋の廃材を拾う人。お風呂の薪にするからと籠がいっぱいになるまで集めた。食堂もないからと昼ご飯をごちそうになる。ほとんど物がない整頓された部屋で一人いままで暮らしている。茶粥とサツマイモの煮物をいただいた。島の人口は30人位で平均年齢は70歳以上なので島を守れなくなっている。海沿いの祠は少し前まで土葬の風習があった為、埋め墓とお参りする為の墓を分けていた名残だそう。集落から丘を登ると花の畑が広がっていた。花畑には対岸の香川県本土から来ていた家族が手入れをしていた。防虫花になるキンカセイが咲き乱れ春の風に揺れている。小高い丘から瀬戸内の島々が見渡せる。心地の良い時間。よく見ると乗るべき船が港に着いていた。


2005 伊吹島 香川県 Ibukijima Kagawa

讃岐うどんにかかせない「イリコだし」その原料になるカタクチイワシを良質なイリコにする伊吹島へ。荒れ模様の天候に船はあっさり欠航に。待合室には散髪とパチンコをしにきた男性と病院にきた女性2名。待合室の2階に布団があるからと、そこで一夜を過ごすことに。伝統芸能がたくさんあって年中にぎやかだったが、年々落ち続ける漁獲量に比例して人口が減っていることなど伊吹島の話しをたくさん聞けた。
翌日、凪の瀬戸内海を離島航路。港には漁船がずらりと並び、大きな加工場の煙突からは水蒸気が吹き上がっている。船着き場には島の交通手段の原付バイクが。 島の集落は、こう配のきつい細い路地に家屋が立ち並ぶ。「坂きついでしょ。高台まで案内する。」とバイクに乗せてもらう。高校を卒業後、島に戻り漁師になったそうだ。ほとんど平坦な島の上部。昔は開墾されていたそうだがいまは雑草が生い茂っていた。雑草をかき分け進むと瀬戸内海に日が沈んでいる。この景色を見て育った彼を羨ましく思った。


2010 淡路島 兵庫県 Awajishima Hyougo

日本の離島を巡る撮影地は、日本から渡航できる北海道、本州、四国、九州以外の有人島。
本州と四国に挟まれた巨大な淡路島は当然、離島になる。
2009年より関西を活動拠点に移し、淡路島は僕の中でも大きな存在になった。神戸からバスで明石海峡大橋を渡り、車窓から収穫真っ盛りの玉葱畑を眺め島の南側、福良港へ。
港のそばは、ちりめんじゃこ加工場があり、湯気が立ち込めている。工場長が詳しく作業工程を説明してくれる。さらに話しは日本の神話へ。淡路島にある国づくりの神話を何かに取り付かれたように語り続けた。話し口調に抑揚があり言葉が頭の中で映像になっていく。1時間ほどイザナギとイザナミの神話を聞く。子供の頃から祖母に何度も聞かされていたので考えなくても言葉が出てくるそうだ。テレビやインターネットのない、ついこの間の時代までは、神話やお伽噺はたくさん語り継がれていたのだろう。昼は上沼恵美子御用達のうどん屋できつねうどんを食す。カツオの効いた出汁がたまらない。

 


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